「頑張る」とはどういうこと? イチロー選手の言葉から学ぶ、本当の努力の仕方

コラム

「頑張れ」という言葉は、受け取る側には重荷になることもあります。では「本当の頑張り方」とはどういうことでしょうか。今回はイチロー選手の言葉をヒントに考えてみます。

「頑張る」という言葉の意味を改めて考える

辞書によれば、「頑張る」には「困難にめげず我慢してやり抜く」「自分の意志を通そうとする」「ある場所を占めて動かない」という三つの意味があります。私たちが日常的に使う「頑張れ」という応援の言葉は、これらのうちの最初の意味に近いでしょう。

ところが、この言葉が必ずしも前向きに受け取られないこともあります。あるプロ野球選手は笑いながらこう話していました。「ファンに『頑張ってください』と言われるけど、毎日頑張ってるんだよね。さらに頑張れってどうしろと」。プロとして全力を尽くしている人に向かって「もっと頑張れ」と言っても、それはすでに実践済みのこと。かえって空虚に響くこともあるのです。

もっとも「頑張」の「頑」は「頑固」の「頑」でもあり、「周囲に流されず自分を貫く」というニュアンスもあります。応援する側はその意味で使っているとも言えますが、それを伝えるにはもう少し工夫がいるかもしれません。

イチロー選手が子どもたちに伝えた「本当の頑張り方」

日米野球界のレジェンドであるイチロー選手は、少年野球のコーチを務めた際にこんな言葉を子どもたちに伝えています。

「人の2倍、3倍頑張るって、できないよね。みんなも頑張っているからわかると思う。頑張るとしたら、自分の限界のところで、もう少しだけ頑張ってみる。それを重ねていってほしい」

「人との比較ではなくて、自分の中でちょっとだけ頑張った。そのことを続けていくと、将来、思ってもいなかった自分になっている。僕だってメジャーリーガーになれると思っていなかったし、3000本打てるとは想像もできなかった。でも、自分の中でちょっとだけ頑張ってきた。それを重ねてきたことで、今の自分になれたと実感している」

(少年野球指導時の発言をもとに要約・構成)

「他者との比較」をやめ、「自分の中の一歩」に集中する

このメッセージのキーワードは二つです。

自分の限界で、もう少しだけ頑張る

他の人より多く勉強することではなく、昨日の自分が限界だったところを、今日もう一歩だけ超えてみること。

それを積み重ねる

一度きりの爆発的な努力より、小さな一歩を続けること。それが、想像もしていなかった自分に出会う唯一の道。

人は多かれ少なかれ「評価」を気にしながら生きています。テストの点数、クラスでの順位、先生や親からの一言——それらを気にすること自体は自然なことです。しかし「評価」は他者が下すもので、自分ではコントロールできません。

一方、「自分の中でもう少しだけ頑張る」という行為は、完全に自分でコントロールできます。メジャーリーグ150年の歴史の中で30人しか達成していない3000安打を記録したイチロー選手が届けたメッセージの本質は、「他者との競争ではなく、自分の内側との対話を続けること」にあります。

テストや受験を前にした皆さんへ

これから定期テストや入試といった大事な節目を迎える生徒のみなさん。「頑張れ」とだけ言うことは簡単ですが、私たちは皆さんの頑張りをきちんと見届けたいと思っています。

どれだけ勉強したか、どこで壁にぶつかっているか、何が少しずつできるようになってきたか——その一つひとつに目を向け、皆さんが「ちゃんと見てもらえている」と感じられる関わり方を大切にしています。

自分の中でもう少しだけ頑張る。それを重ねていきましょう。私たちはその隣にいます。

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